はいさい!
シーサー夫です。
沖縄県の離島である「宮古島」には不思議な事が満載です。
言葉(方言)にしても、沖縄本島の方言とは全く違うし・・・
生活習慣も多少なりとも違っています。
離島ならではの出来事が多い「宮古島」ですが、
今回はその中の1つ「地下ダム」についてお話します。
宮古島の生活を支えるために必用な「地下ダム」って?
宮古島には「川」がない事を知っていますか?
宮古島はサンゴ礁が隆起してできた島で、島全体が珊瑚の石灰岩に
覆われています。
石灰層は水が浸透する速度が早いため宮古島には川がありません。
川がないということは、山の土が海に運ばれないので、世界でも
有数の美しい海を保っています。
でも、川の水を使うことができないために地下水を使用せざるを得ず、
昔から水汲みは島の人々にとって非常に辛い労働でした。
島の地質は、石灰岩に覆われていますが石灰岩の下には水を通しにくい
泥岩と砂岩からなる地層があります。
だから地下水は下に漏れることなく遮られ、石灰岩の小さな穴や
隙間に溜まっています。
これを大規模に利用しようと、昭和の時代になって、640億円で
建設されたのが宮古島の地下ダムです。
これは世界初の試みであり、奇跡的な大偉業なんですよ。
「地下ダム」はどうやって出来ている?
水を含みやすい性質を持つ琉球石灰岩の地層を幅1790メートル、
高さ27メートルの地中壁で区切ることによって地下水が海へ流出したり
海水が地下水に浸入したりするのを防ぎ、地下水として水を
蓄えておくことができます。
蓄えられた水は計85本の井戸からポンプでくみ上げられ、砂川ダムと
合わせて8400ヘクタールの農地の灌漑用水として利用されます。
ダム本体は地中にあり、ダム湖もなく地上ではサトウキビ畑が
広がっているので、「地下ダム」があることすらわかりません。
なぜ宮古島には「地下ダム」が必要なの?
宮古島では城辺町というところに、福里ダムと砂川ダムの2カ所に
地下ダムがあります。
なぜ地下ダムが必要かというと、宮古島には川がなく、降水の大半が
梅雨と台風によるもので、このシーズンの降水が少ないと即、干ばつに
見舞われる恐れがあります。
実際に昭和46年には、180日間で降雨量162mmという大干ばつに見舞われ、
宮古島の農業は壊滅的な打撃を受けました。
その被害は、平均反収約7トンのサトウキビが1.25トンにまで激減するなど、
悲惨なものでした。
そこで、本土復帰を契機に「畑に水を、若人に夢を」を合言葉として、
灌漑(かんがい)事業の実現のため農民は立ち上がり、国や県、
関係機関に繰り返し陳情してきました。
その働きかけが実り、昭和62年に国営灌漑事業が着工となりました。
事業は、地下ダムにより約2,400万トンの水源を確保し、
8,400ヘクタールに畑地灌漑を行うという大規模なものです。
川のない宮古島に、世界に先駆けてこれほど大規模な地下ダムが
完成したということは、常識では考えられない奇跡的な出来事でした。
また、干ばつに苦しめられない「水利用農業の展開」が可能になるということは、
農業の歴史から見ると「宮古の農業改革」といえるほどの大偉業です。
宮古島の「地下ダム」の特徴と立地条件
本土では、各地で見られる「ダム」ですが・・・・
宮古島の「ダム」は一般的な「ダム」と違って「地下」にあります。
なので「地下ダム」の特徴と立地条件も違っています。
地下ダムの特徴
(1)土地の水没がない。地表部は今までどおり使える。
(2)決壊災害がない。ダムが壊れて家屋が流出することもない。
(3)地下水の流動が比較的遅いために長期間安定取水が可能。
(4)地下水のため年中水温が安定している。
地下ダムの立地条件
(1) 必要な地下水を貯留することのできる空隙を持ち、かつ貯留した
地下水を効率よく摂取するだけの透水性を持った地層が存在すること。
(2) その地層の下位及び周囲に、地下水を逃がさない、水を通しにくい
地層(不透水性基盤)が存在すること。
(3) 貯水量に見合う地下水の補給(涵養)があること。
(ただし、涵養量が少ない場合は、人工的に補うことができる)
「地下ダム」は宮古島に合った立地条件なので成功しているんですね。
地上では、目に見えない「地下ダム」の不思議。
宮古島に行かれた際には、一度「地下ダム資料館」に行って見ては?
最後までお付き合い頂きアリガトウございました。
またや~さい!